僕とマルチ
今回は僕とマルチ商法と一人の友人に関して話そうと思う。
先に言っておくと僕自身、マルチ商法をした事はない。
もうご存知だと思うので「マルチ商法とは何か」という話はここではしない。
ある程度の年齢になると、何かしらのマルチ勧誘をされたことがある人がほとんどだと思う。
僕もその一人だ。
大学入学の頃、僕には「友達ができるかどうか」という一つの大きな不安があった。
誰でも一般的にもつ不安だろうが、僕の場合、コミュニーケーションに難があるので、その不安は一般的な物より大きかったと思う。
コミュニケーションに関してはまた別の機会に話そうと思う。
入学式当日、僕は誰かに話しかけようと思った。
こういった問題は最初が肝心で、最初の機会を逃すと今後回復はなかなか難しいと思う。
始めのグループが形成されていない状態、お互いが「コミュニーケーションに飢えてる状態」でなんとかしないといけない。
僕はかなり遠くにいる、一人の男性に声をかけた。
数多くいる人の中で、なぜ彼に声をかけたのかは今でも分からない。席が近い訳でもない。何かしらのフィーリングだったかも知れない、ましてや運命か。
そもそもこういった勇気がいる行動を、なぜ僕ができたのかも分からない。
なんて話しかけたどうか「○○ってどこだっけ?」とか「シャーペン貸して」みたいな感じだったと思う。
他人と仲良くなる為に、何かを知らないフリをしたり、シャーペンを持っていないフリをする自分が嫌だ。
彼は「ありがとう(話しかけてくれて)」といった。そこから一緒に帰った。
色々な話しをして一緒に帰った。
前の高校の話や、家庭の話。
彼の実家は自営業らしいが、うまくいってないらしい。
解散後、携帯を開くと彼から「これからよろしく!」とラインが来ていた。
そこから少しずつグループができていった。
そこから四年間、彼とはとても仲良くしてて、文字通り親友だった。
僕と彼はどちらも東京の会社に就職する事になり、大学を卒業すると同時に上京した。
上京や就職に関しては又別の機会に話そうと思うが、東京という街は人を変える力がある。
彼は徐々に変わっていった。
彼は僕から見て、あまり良いとは思えない会社に就職した。
月の残業は200を超えるらしいが、給料は高かった。
東京という街、今まで得たことの無い大金、過重労働、将来の不安、自営業という家庭環境。
一人の人間を変えるには十分すぎる条件だったかも知れない。
彼はア○ウェイに手を出し始めた。
だけどこちらを勧誘してくる事はないし、自分には関係無いので放置しておいた。
それからしばらくして、彼はア○ウェイを辞めたが、新しいマルチ商法のビジネスを始め、僕を勧誘してきた。
僕は話を聞きに行くことにした。
なぜそんな事をしたのか自分でもわからない。
ホテルのロビーのカフェで話を聞いた。
ABC方式でまず下っ端が出てきて「仮想通貨の将来性」なんかを話してた様な記憶がある。
そこから師匠の登場だ。
夏じゃないのに何故かFENDIのサンダルを履いてた。一年中サンダルらしい。
このクソダササンダル人間は意味不明な、このビジネスの詳細なんかを話した後
「このビジネスに投資する為に消費者金融に行って100万円借金借りてきてくれ。」
と言ってきた。
「もう帰ろう」
そう思った。サンダルは
「次回会った時にもっと詳しい内容を話す。次にいつ会えるか?」と聞いてくる。
僕は適当な日程を伝えた。友人に「行くのは辞める」って言っておいてくれと伝えた。
その状況で行かない理由を伝えても、相手はプロだし、何かしら言いくるめられる可能性もある。この方法が一番だと思う。
サンダルはもう一つ言っていた事があった。
「仮想通貨の値段は相場ではなく、個人が決めている。どの銘柄かは言えないが、今年中にコインチェックに上場している仮想通貨の内、一つが爆上がりする。」
年末に確認したのだが、爆上がりかどうかは微妙なとこだけど、確かに一つ値段が上がっていた。
僕は帰宅し、彼にメッセージを送った。
「友達を利用したり、将来を良くない方向に導いたりする奴は友達じゃないと思う。友達になれて良かった。今までありがとう。」
そんな内容だったと思う。そして彼とは関係を断ち切った。もうそれから一度も会ってない。
「彼だって被害者だ」という意見もわかる。だけど僕には「彼は超えてはいけない一線を超えてしまった」と思う。
そこから噂によると、何かしらのきっかけで実態に気付き、そのビジネスを辞めたらしい。
彼は借金を返しきれず、債務整理に踏み切り、会社も辞めて家業を継いたが、家業のお金を横領しているらしい。
今回、人はなぜマルチにハマってしまうのか等という個人的な見解もここで話そうかと思ってたが、長くなったので別の機会に話そうと思う。
僕は友達が落ちぶれていくのを生で見て悲しかった。
どうにかして止める事はできなかったのだろうか。